Hamilton, Joe Frank & Reynolds

タイトル ハミルトン・ジョー・フランク&レイノルズ (Hamilton, Joe Frank & Reynolds)
アーティスト ハミルトン・ジョー・フランク&レイノルズ (Hamilton, Joe Frank & Reynolds)
レーベル/番号 Dunhill Records, DS 50103
Hamilton, Joe Frank &Reynoldsのジャケット表 Hamilton, Joe Frank &ReynoldsのA面のレーベル

1971年にリリースされた、ハミルトン・ジョー・フランク&レイノルズのデビュー・アルバム『Hamilton, Joe Frank & Reynolds』を紹介いたします。


本LPレコードをご存じという方は非常に稀だと思います。私も知ったのはリリースから30年以上経た21世紀に入ってからです。


しかし、本盤に収録された『(B1) 恋のかけひき(Don't Pull Your Love)』を聴いたことがないという方はもっと稀だと思います。それどころか、この曲が洋楽で一番好きという方が大勢いらっしゃると思います。私も学生時代まではそうでした。今はどうかと問われれば、好きな曲が沢山あり過ぎてどれが一番か決められないだけで、すごい曲だと脱帽であることに変わりありません。「むかしは聴けたけど」「今の好みとは」のような評価からは超越しています。知り合いがカセットテープに録音して、休日のドライブ出陣時に必ず大音量で流し気合をつけたと言ってましたが、その通りの曲です。


ラジオで何度聴かされたか数えきれませんが、71年当時は中学生。お小遣いでレコードを買う習慣はまだなく、買いそびれたまま21世紀をむかえてしまいました。どうしても欲しくて、CDのヒット曲集に収録されるという記事を目にして速攻で手に入れましたが、音質に納得できず大音量で流しても気持ち良くなりませんでした。


中古レコード店で探し回った時期もありました。「何をお探しですか?」の問いに、「ハミルトン・ジョー・フランク&レイノルズのLPはないですか」の長たらしい口上は小っ恥ずかしい感じがして仕方ありませんでした。長らく忘れていたところ、AOR盤調達で何度か訪れた神田神保町のEastレコードで「ずっと探しているレコード」の話題になった時に、「ああ、これですね」とアッサリ差し出されたのが本盤。やはり、お宝はどこに転がっているかわからないので、諦めてはいけません。


最近、海外の通販サイトを覗くことがあるのですが、日本の中古レコード市場と違い、それほど珍しい盤ではなく、意外に手頃な価格で取引されているようです。45年前とはいえ、相当な枚数が出回ったはずなので当然かも知れません。



Hamilton Joe Frank & Reynoldsのジャケット表 Hamilton Joe Frank & Reynoldsのジャケット裏

表裏を並べると、印象的なジャケット・デザインになっています。



見開きジャケットの裏

ジャケットは見開きになっていて、裏返すとメンバーのポートレイトがアップで掲載されています。メンバー紹介のクレジットはないのですが、ジャケット表ともに、素直にグループ名通り、左からダニー・ハミルトン(Danny Hamilton)、ジョー・フランク(Joe Frank Carollo)、トミー・レイノルズ(Tommy Reynolds)のようです。


『SOFT ROCK The Ultimate!』(音楽之友社、2002)で、鈴木英之氏の解説によると、ダニー・ハミルトンは、兄のジャドとともに、ザ・ベンチャーズ(The Ventures)やチャド&ジェレミー(Chad & Jeremy)のバックとして音楽活動を開始、作家としてもベンチャーズの『ダイアモンド・ヘッド(Diamond Head)』などを書き頭角を現していったとあります。

また同書には、契約のダンヒル・レコード(Dunhill Records)は、ヒットメーカーであるランバート(Dennis Lambert)&ポッター(Brian Potter)作の『恋のかけひき』を、同社の看板スターのグラスルーツ(The Grass Roots)でリリースすることを予定していたという記述もあります。



インナースリーブ(内袋)の表 インナースリーブ(内袋)の裏

インナースリーブ(内袋)の写真です。グラスルーツ、スリー・ドッグ・ナイト(Three Dog Night)、ママス&パパス(The Mamas &パ the Papas)のダンヒル看板スター以外に、レイ・チャールズ(Ray Charles )、B.B.キング(B.B.King)らのビッグネームがならんでいます。


もしも、『恋のかけひき』をグラスルーツが歌っていたら、グラスルーツの日本での知名度は、今とは比較にならなかったはずです。しかし、ダンヒルの判断通り、ハミルトン・ジョー・フランク&レイノルズがドラマチックに歌い上げてくれたからこそ、皆に愛される名曲になったのだと思います。



[Tracklist]  Hamilton, Joe Frank & Reynolds

A1 Goin' Down 2:59
A2 Annabella 2:30
A3 Sweet Pain 2:50
A4 It Takes the Best 3:13
A5 Don't Refuse My Love 2:57
A6 Long Road 2:53
B1 Don't Pull Your Love 2:40
B2 What Can You Say 2:49
B3 Behold 2:40
B4 Young, Wild and Free 2:39
B5 Nora 4:47


[参考文献]

・『SOFT ROCK The Ultimate!』(音楽之友社、2002)