JAZZ仲間というやつは・・・


類は友を呼ぶ・・・。


どこから広まったのかよく分からないが、クレモナを購入してから1か月もたたないうちに、会社で「あれ買ったんだって」と話かけてくる輩が二人いた。その二人は共通の趣味で繋がった友達同士で、いつの間にか私はその仲間にされてしまった。


共通の趣味とはオーディオとJAZZ。オーディオは高校時代から付かず離れず細々と続けて来たが、音楽の興味はアメリカン・ポップス中心で、JAZZはよく解らない。私は以前から、重度のオーディオ・マニアはクラシック派かJAZZ派のどちらかに分かれると漠然ととらえていたが、JAZZ派に絡め捕られたわけである。


二人ともそのマニア振りはハンパでなかった。一人の家に寄せてもらった時のことである。12畳ほどの頑丈な部屋に、スピーカーはアルティクA-5にJBLのスーパー・トゥイーター、プリは石、パワーは管のマッキントッシュのセパレート。レコードプレーヤーは、その時初めて知った、リン(LINN)のLP-12。世界最高のレコードプレーヤーと聞き、興味を持ったら快く操作を任せてくれた。


なるほど、なるほど、世界一とはこういうものか、「使いやすくいいトーンアームですね」と褒めると、今度、それを下取りに出して70万のチタン製にグレードアップするという。現在のアームの値段を聞くと「40万」だという。


まてよ、クレモナを除いた残りのコンポーネント(プリメイン、レコードプレーヤー、カートリッジ、CDプレーヤー、MDデッキ、カセットデッキ…)全部を合わせても、今手にしているトーンアーム一本の値段にかなわない。


そこで、はたと気がついたのである。「私はこの道を進んではいけないのだ」。


実は、クレモナ搬入時の応援の方の助言「アンプはスピーカーと同額の投資」が少しひっかかっていて、その日、マニアのコレクションを目の当たりにして、負けず嫌いの心がもたげる危ない自分がそこにいたのである。もう定年まであと少し、余裕などない。「こんな道を進んではダメだ」。トーンアームを右手でつまみながら、私は深く深く悟ってしまった。


何のための機材だ、音楽を聴くための機材だ。いいレコードにこそ投資をすべきである。


それから、安くて音の良いレコードを求めて、中古レコード店を回ることとで対抗することにしたのである。金が無いなら足で稼ごう。


少し驚いたのが、あれだけのJAZZマニアでありながらRVG刻印をあまり意識していなかったことである。ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)を共通認識させたということだけでも、JAZZ仲間への私の貢献は大きかったのではないだろうか。ただ、単に病原菌をまき散らしただけかも知れないのだが。