『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』
に出会ってしまった


『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』(Blue Note Records A Guide for Identifying Original Pressings)という本に出会ってしまった。


『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』の表紙 『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』の裏表紙

1年余り、ジャズ・レコードについてのページをアップしていませんでした。いや、できませんでした。新メニュー開設作業もありましたが、この本に出会えたおかげで、自分の未熟さを痛感。ジャズ・レコード、特にブルーノートについて一歩も前に進むことが出来なくなってしまったのです。

まず、この本の内容を十分に理解して、今までアップしたブルーノート関連のページを少しでも正しい内容に改訂してからでないと、先には進めないぞと逡巡しているうち1年が経過してしまいました。


本書は、ニューヨーク・マンハッタン西26丁目にある専門店、ジャズ・レコード・センター(JAZZ RECORD CENTER)のオーナーで、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)の世界的コレクターでもある、フレデリック・コーエン(Frederick Cohen)氏が著したガイドブックです。


ネットの情報で、原書の存在は知っていたのですが、手に入れることの困難さ、入手しても解読の困難さを想像して、遠い存在に感じていました。それがある日、八重洲ブックセンターの書架を眺めていたら、翻訳本があるではないですか。これにはビックリ。慌てて購入した次第です。


本書は、レコード・プロデューサー、音楽評論家の行方均氏の監修・翻訳で、ディスクユニオンから2011年に刊行されたものです。A5版相当で107ページと丈夫な上質紙を使いながら1センチに満たない薄さ。コンパクトながら、リバティ(Liberty)売却以前のブルーノートが発売した全レコードについて、オリジナル盤の判定基準を必要十分に解説しています。


コーエン氏が本書で『オリジナル盤のコレクターが無駄な時間と出費を最小限にとどめてくれることを望むものだ』と語るように、限られた予算、時間で少しでも良質なブルーノート盤を手に入れたい方は、ぜひ手に取って欲しいと思います。


検証しようとしているステレオ版『サムシン・エルス(Somethin' Else)』(BST-1595)のオリジナル体裁を、本書は、略語を使い簡潔に1行で表しています。


    1595 ・・・・・・・・・・・・ W63i, dg, P, RVGst, br / W63, ps, lam, STs


前半はレコード盤を、斜線(/)以降はジャケットを説明しています。

もちろん、これらの略語は、用語解説の章で実例の写真とともに詳細な説明が掲載されています。

これによると、レコード盤が備えるべきオリジナルの要件は。

W63i レーベルの住所が「BLUE NOTE RECORDS INC, 47 WEST 63rd NYC」
dg 両面に深溝(Deep-groove)あり
P 最内周にプラスタイライト(Plastylite)社のマーク(通称=耳マーク)あり
RVGst 最内周に RVG Stereo 刻印
br レコード盤の端が玉縁(beaded rim)

次に、ジャケットが備えるべきオリジナル要件です。

W63 住所が「BLUE NOTE RECORDS INC, 47 West 63rd St., New York 23」
ps 背文字あり
lam ラミネート加工
STs 前面に金色のステレオ・ステッカー

以上、判定項目が明確に提示されています。

それでは、オリジナル盤とはかけ離れていると思いますが、次ページで『Somethin' Else』直輸入盤の素性を検証したいと思います。


[参考文献]

・フレデリック・コーエン著、行方均監修/訳
『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』(株式会社ディスクユニオン、2011)

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