Midnight On Cloud 69
~ George Shearing Quintet & Red Norvo Trio

タイトル ミッドナイト・オン・クラウド69 (Midnight On Cloud 69)
アーティスト ジョージ・シアリング・クインテット (George Shearing Quintet)
レッド・ノーヴォ・トリオ (Red Norvo Trio)
レーベル/番号 サヴォイ(SAVOY)、 MG-12093
Midnightのジャケット表 MidnightのA面のレーベル
手書きRVG MidnightのA面の刻印RVG


サヴォイ(SAVOY)のRVG刻印盤を何枚か紹介してみたい。


「George Shearing Quintet & Red Norvo Trio」のクレジットがあるが、両者の共演ではない。AB面とも最初の4曲をジョージ・シアリング・クインテット(George Shearing Quintet)、最後の2曲をレッド・ノーヴォ・トリオ(Red Norvo Trio)が演奏、合わせて全12曲のカップリング・アルバム。


冒頭の曲からヴァイブ(Vibes)が流れるので、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)と思いきや、ジョージ・シアリング・クインテットの女性メンバー、マージョリー・ハイアムス(Marjorie Hyams)の演奏である。


本盤のオリジナルのリリースは1956年だが、1949~50年の録音で、ジョージ・シアリング・クインテット(George Shearing Quintet)としての初録音というデータがあるので、彼のファンにとっては、貴重な音源となる。また、マージョリー・ハイアムスは50年に結婚して引退しているので、彼女の音源としてもこれまた貴重である。


余談であるが、彼女は2012年に92歳で亡くなった。レッド・ノーヴォは91、ライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)は94まで生きた。ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)は1999年に76で亡くなったが、ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)、ゲイリー・バートン(Gary Burton)は70を過ぎて健在で現在も活動を続けている。ヴィブラフォン(Vibraphone)という楽器は何か長寿をもたらす力を宿しているのだろうか?




Midnightの録音データ



ジャケット裏のクレジットに「Masterd By: R. VAN GELDER」「Production: OZZIE CADENA」とある。RVGの珍品中の珍品?として紹介した、『The Ferko String Band』(REGENT, MG-6085)と同じコンビ。録音はヴァン・ゲルダーではなく、プロデューサーのオジー・カデナから依頼され、リマスタリングから、カッティングまでを彼が担当したと思われる。


ヴァン・ゲルダーは、ブルーノート(Blue Note)の仕事の多くで、自前のスタジオで録音、カッティング、プレス原盤制作までの全行程を請け負うイメージがあるが、トータルでは、他の人が録音した音源をリマスター(Remaster)してカッティングする仕事の方が多かったのではないか。ブルーノートでも以前紹介した『The Amazing Bud Powell Vol.1』『The Fabulous Fats Navarro Vol.1』など10インチからの復刻。これから紹介するつもりの『At The Golden Circle Stockholm ~ The Ornette Coleman Trio』等、ヨーロッパ録音がそれにあたる。


不確かであるが、本盤はSP盤からの復刻という情報もある。刻印は「手書きRVG」なので、純粋なモノラル用のカッティングヘッドでカッティングしたもの。それを裏付ける証拠(?)として、当初、本盤をステレオ・カートリッジ(DENON:DL-103R)で再生したのだが、背景でゴ~ン、ゴ~ンと梵鐘が鳴っているような音がした。要するにうまくトレース出来なかったのである。後に、モノラル・カートリッジ(DENON:DL-102)で聴いたらかなりまともな音になった。針圧10gもあるモノラル専用カートリッジで再生しなければ、本盤の本当の実力は判断できないと考える。


長くなったこともあり、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)については、次ページで彼のリーダー作を紹介したいと思います。


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