タイトル | アニタ・カー・カントリー (It's Anita Kerr Country) |
編成 | The Anita Kerr Singers |
レーベル/番号 | DOT ,DLP-25976 |
アニタ・カー(Anita Kerr)は、1969年にドット・レコード(Dot Records)と契約。翌70年にリリースされたLPレコード『アニタ・カー・カントリー(It's Anita Kerr Country)』を紹介します。
私はドット・レコードというレーベルを、彼女のLPで初めて知りましたが、レコード盤が厚くていねいな作りと、何よりも高音質であることに驚かされました。
カントリー・ミュージックのメッカ、ナッシュビル(Nashville)で音楽活動をスタートさせたアニタ・カーの原点回帰を暗示するようなタイトル。彼女も乗りに乗っているようで、完成度も高く、私のなかでベスト5に入るアルバムです。
ジャケットの表だけでなく、裏にも彼女の大きく印象的なポートレートが掲載されています。
ジャケット裏のライナーノーツは控えめですが、左下にメンバー紹介があります。カット盤(見切り品)の切れ込みがあり判読できない部分もありますが、ソプラノ&ソロのアニタ・カー、アルトがジャッキー・ワード(Jackie Ward)、テナーがジーン・マルリーノ(Gene Marlino)、ベースがボブ・ティーボウ(Bob Tebow)のカルテット構成。
インナースリーブ(内袋)を見ると、「RCA VICTOR」「WARNER BROS.」のようなメジャー・レーベルとは明らかに違うラインナップ。「ハンク・トンプソン(Hank Thompson)」「アンディ・キム(Andy Kim)」「リン・ローマン(Lyn Roman)」「ビリー・ヴォーン(Billy Vaughn)」「フランキー・カール(Frankie Carle)」・・・不勉強な私には聞いたことのないアーティストばかり。アニタ・カーのおかげでドット・レコードを知ることができ、音楽の世界が広がりそうです。
このLPレコードを私のなかのベスト5にあげる大きな理由が、アニタ・カーがソロで歌うパートが、他のアルバムに比べダントツに長いことです。これは彼女のソロアルバムで、バックコーラスが「Anita Kerr Singers」と言ってもいい内容です。『(A1)Singing My Song』『(A3)My Own Peculiar Way』『(B4)The Last Letter』『(B6)Make The World Go Away』の4曲で、彼女のソロがじっくり聴けます。声質、テクニックともにオンリーワン。奇跡の歌声を十分に堪能できます。
そして、このアルバムには、音響的にしびれる箇所があります。それは、A面2曲目『Natural To Be Gone』の冒頭。前述と矛盾するようですが、その曲はカルテットのフルコーラスで始まるのですが、歌い出しの直前に大きく息を吸い込む音が収録されています。コーラスに入れば完璧に合わせるのですが、息を吸い込むタイミングが各人で異なり、4人それぞれの息を聴き分けられるかが、オーディオ・チェックの恰好な材料になっています。歌い出しの生々しい緊張感には、何度聴いてもゾクッとさせられます。
A1 | Singing My Song | 3:40 |
A2 | Natural To Be Gone | 2:03 |
A3 | My Own Peculiar Way | 3:37 |
A4 | This Sad, Sad Life | 2:56 |
A5 | Detroit City | 2:35 |
A6 | Galveston | 3:50 |
B1 | Darling Jane | 3:36 |
B2 | She's Still Gone | 3:07 |
B3 | Johnny Wants To Be A Star | 2:55 |
B4 | The Last Letter | 3:18 |
B5 | It Will Come To Pass | 3:05 |
B6 | Make The World Go Away | 2:23 |