タイトル | ザ・サウンド・オブ・ウォーム(The Sound of Warm) |
編成 | アニタ・カー(Anita Kerr)Piano |
レーベル/番号 | Intercord, INT 145.013 |
ドイツのインターコード(Intercord)レーベルからリリースされたLPレコード『ザ・サウンド・オブ・ウォーム(The Sound of Warm)』を紹介します。ストリングス、時にブラスをバックに全曲アニタ・カー(Anita Kerr)自身によるピアノ演奏、コーラスなし。彼女にしては大変珍しい構成のアルバムです。
上にジャケット、下にレコード盤レーベルの表裏を並べています。
ジャケット裏の曲目、制作データを拡大しました。下の著作権表示を見ると、1977年にモンテ・ローザ・レコード(Monte Rosa Records)からリリースされたものがオリジナルで、本盤は79年にインターコード(Intercord)から再発されたものであることがわかります。
全12曲ともアニタ・カー作編曲。夫のアレックス・グロブ(Alex Grob)との共同制作。テクニックでなく、一音一音を丁寧に刻む彼女の演奏。私はこのレコードを聴いた当初は「古風な癒しのイージリスニング」という印象でした。しかし、繰り返し聴くうちに「どうもそれだけはないぞ」と思うようになりました。
本盤に込める彼女のメッセージが、ジャケット裏のライナーノーツに、ドイツ語と英語で掲載されています。英語の部分を以下に拡大します。
語学力に乏しいので、Google翻訳を頼りに読んでみました。誤訳御用捨で書き出しと結びの部分だけ紹介ます。
『本を書けたら、今日の人たちがどれだけ緊張していて、急いでいるのかを言葉で表現できると思います。彼らは自分自身や周りの愛する人を傷つけていることに気づいていません』
『WARMは私が夢の世界を表すために考える言葉です。お互いのために行動する暖かい人々。私は言葉の作り手ではなないので、音楽に自分の気持ちを込めました。これを聴いて、あなたがリラックスできることを望みます。歌詞はありません。聴きながらあなたの絵を描いて欲しいのです。暖かさに包まれた愛情ある絵になることを望んでやみません』
ジャケットはピアノの鍵盤の上に赤いバラを配した洒落たデザインですが、ピアノをよく見るとキズも多く、黒鍵の手前が白く褪せていたり、かなり使い込まれていることがわかります。新しいものを追い求めるだけでなく古いものも大切に、というメッセージがここにも込められている気がします。
1977(昭和52)年は、今では高度成長の陰りが見え始めた時代といわれます。振り返って、当時学生だった私は、社会はこれからもどんどん豊かになってゆくと、信じて疑いませんでした。先の世界に不安を感じた彼女のメッセージは、半世紀近く経過した令和になってようやく鈍感な私にも届いたようです。
A1 | Love Shines Through | 3:45 |
A2 | August Storm | 3:05 |
A3 | Bars Of Sunlight | 3:27 |
A4 | Seagulls | 4:42 |
A5 | Fire Flies | 3:52 |
A6 | Moody | 2:59 |
B1 | Dancing Together | 2:26 |
B2 | Warm | 3:04 |
B3 | Tender Moments | 3:08 |
B4 | You Are Everywhere | 2:53 |
B5 | Reflections | 5:55 |
B6 | Life’s Little Things | 2:30 |