タイトル | マイ・カントリー(My Country) |
編成 | ブルック・ベントン(Brook Benton) |
レーベル/番号 | RCA Victor, LSP-3590 |
1966年にRCA Victorからリリースされた、ブルック・ベントン(Brook Benton)の『マイ・カントリー(My Country)』を紹介いたします。アニタ・カー(Anita Kerr)のページに何故?と思われるかも知れませんが、彼女が制作に関わったLPレコードも取り上げていきたいと考えています。
勉強が足りない私は、ブルック・ベントンを知りませんでした。彼は50年代後半から60年代前半にかけ大活躍したR&Bシンガーで、ソングライターでもありました。彼の歌は、全盛期59~61年の3年間で、全米トップ40以内に16曲もランクインしています。しかし、60年代半ばから人気が落ち始め、本盤は彼の低迷期まっただなかでの収録だったようです。
ジャケット裏右上のクレジットです。編曲はアニタ・カー。ほぼ全曲で、アニタ・カー・シンガーズ(Anita Kerr Singers)がバック・コーラスを務めています。プロデューサーのクライド・オーティス(Clyde Otis)はソングライターでもあり、ブルック・ベントンは、彼との共作で数々のヒットを飛ばしています。
右上のコードはレコード番号です。RCA定番のモノラル(LPM-3590)/ステレオ(LSP-3590)両方でリリースされています。手に入れたのはステレオ盤です。
本盤は、ブルックのオリジナル・アルバムにカウントされない企画物の位置づけのようです。ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams)、ジョニー・キャッシュ(John Cash)、アーネスト・タブ(Ernest Tubb)、ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)など、往年のカントリー歌手の名曲を、彼がどのように料理するかのコンセプト・アルバムになっています。
ブルックは、スローなテンポで、ゆったりとカントリーソングを歌います。ナット・キング・コール(Nat King Cole)を思わせる歌唱です。ナット・キング・コールは前年65年2月に亡くなっているのでそのオマージュを兼ねている気がしてなりません。上はジャケット裏の、ハロルド・スターン(Harold Stern)のライナーノーツです。『Brook Benton seems destined to inherit the mantle of greatness worn by the late Nat Cole』なる文章もあるので間違いないと思います。
また、ブルックのウキペディアを参照したところ、彼がブレークするきっかけとなった、クライド・オーティスとの共作、59年の『It's Just a Matter of Time』『Endlessly』は、当初、ナット・キング・コールが歌う予定だったのを、録音しないようにコールに頼んで、ブルック自身による大ヒットが実現したとあります。ブルックとコールの強いつながりを感じさせるエピソードです。
また、勉強が足りないことを暴露しなければなりません。『(A6) I Really Don't Want To Know』を聴いて「アレッ?」と思いました。菅原洋一が歌った『知りたくないの』の原曲でした。米国発の楽曲であったことを初めて知った次第です。
ブルック・ベントンは70年、トニー・ジョー・ホワイト(Tony Joe White)作の『雨のジョージア(Rainy Night in Georgia)』の大ヒットで見事復活を果たします。ナット・キング・コールだけでなく、アニタ・カーからも幸運をもらったとは言い過ぎでしょうか。
A1 | Cold, Cold Heart (Hank Williams) |
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A2 | Funny How Time Slips Away (Willie Nelson) |
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A3 | Please Help Me, I'm Falling (Don Robertson and Hal Blair) |
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A4 | I Walk The Line (John Cash) |
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A5 | He's Got You (Hank Cochran) |
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A6 | I Really Don't Want To Know (Don Robertson and Howard Barnes) |
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B1 | Walking The Floor Over You (Ernest Tubb) |
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B2 | Hello Walls (Willie Nelson) |
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B3 | Gone (Smokey Rogers) |
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B4 | Any Time (Herbert Lawson) |
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B5 | He'll Have To Go (Joe Allison and Audrey Allison) |
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B6 | Have I Told You Lately That I Love You? (Scotty Wiseman) |