タイトル | イヤー・オブ・ザ・キャット(Year of the Cat) |
アーティスト | アル・スチュワート(Al Stewart) |
レーベル/番号 | Arista, AL 9503 |
1976年リリース、アル・スチュワート(Al Stewart)の7枚目のスタジオ・アルバムで最大のヒット作『イヤー・オブ・ザ・キャット(Year of the Cat)』。日本でもかなり話題になったと記憶しています。
しかし、私がアル・スチュワートにハマった時期は、『アメリカ(America)』の『パースペクティブ(Perspective)』でも触れましたが、20代後半の1984年頃でした。
彼の経歴を紹介します。1945年、スコットランドのグラスゴー生まれ。同年、空軍予備役の父が、訓練中の飛行機事故で死亡。英国南西部ドーセット州ウィンボーン(Wimborne)で、母親の手で育てられます。グロスターシャー州ウィクリフ・カレッジで寮生活に入りますが、在学中に音楽に目覚め中退。いくつかのバンドを転々とした後、65年にロンドンのソーホーでアパート暮らしを始めます。
ロンドン時代、ポール・サイモン(Paul Simon)、キャット・スティーヴンス(Cat Stevens)、バート・ヤンシュ(Bert Jansch)、ヴァン・モリソン(Van Morrison)、ロイ・ハーパー(Roy Harper)、ラルフ・マクテル(Ralph McTell)らと共演しキャリアを磨きます。
67年にファーストアルバム『ベット・シッター・イメージズ(Bedsitter Images)』発表。69年のセカンド『ラヴ・クロニクルズ(Love Chronicles)』は、自身の恋愛、性体験を詩に託し、衝撃で迎えられますが、イギリスの音楽誌「メロディ・メーカー」の「フォーク・アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選ばれます。
73年、5枚目のアルバム『過去、現在、未来(Past, Present and Future)』で、実質的な全米デビューを果たします。彼のブレークは、アラン・パーソンズ(Alan Parsons)をプロデューサーに迎えた、75年の『追憶の館(Modern Times)』。そして、アラン・パーソンズ・プロデュース第2弾の本盤『イヤー・オブ・ザ・キャット』で、全米アルバムチャート5位、プラチナ・ディスクに輝きます。
しかし、ハマって聴いていた時期は、アルの経歴など知らず気にせず、歌詞の意味も分からず、独特で吟遊詩人的な音世界にただただ浸っていました。
見開きジャケットになっていて、鮮明でありませんが裏返した時の写真と、右下、録音データの部分を拡大してみました。レコーディングは、ロンドンのアビー・ロード・スタジオ(Abbey Road Studio)。アラン・パーソンズは、このスタジオのエンジニアとして、ビートルズ(Beatles)やピンク・フロイド(Pink Floyd)などの作品を手掛けています。
彼は、アラン・パーソンズ・プロジェクト(The Alan Parsons Project)という自らのバンドも率いて、1982年『アイ・イン・ザ・スカイ(Eye In The Sky)』、84年『アンモニア・アヴェニュー(Ammonia Avenue)』などの大ヒット・アルバムをリリース。特に『アンモニア・アヴェニュー』からシングル・カットされた『ドント・アンサー・ミー(Don't Answer Me)』は何度も繰り返して聴きました。
アル・スチュワートと、アラン・パーソンズのつながりも全く知りませんでしたが、20代後半の84年頃に感応して聴き込んでいたことの理由が理解できた気がします。全くの私事で恐縮です。
ジャケット裏の主要メンバーの顔写真を並べてみました。左から、キーボードのピーター・ウッド(Peter Wood)。ドラム、パーカッションのスチュアート・エリオット(Stuart Elliot)。ギター、キーボードのピーター・ホワイト(Peter white)。ギターのティム・レンウィック(Tim Renwick)。アル・スチュワート。ベースのジョージ・フォード(George Ford)。収録全曲が、アル・スチュワート作ですが、『(B4) イヤー・オブ・ザ・キャット』のみ、ピーター・ウッドとの共作です。
レコードに針を降ろすと、冒頭『(A1) ロード・グレンビル(Lord Grenville)』から、ゆったりとした甘美な世界にわしづかみにされますが、何といってもこのアルバムのハイライトは、エンディングの『イヤー・オブ・ザ・キャット』にあると思います。美しいリフレインの長いイントロで始まり、アルのボーカルが控えめに続き、ストリングスとフィル・ケンジー(Phil Kenzie)のアルト・サックスが効果的に盛り上げ、リフレインのフェードアウトで終わる。
5年後の81年に、彼は『小春日和(Indian Summer)』というタイトルの2枚組のライブ・アルバムをリリースします。それまでのベスト・アルバム的な内容で、ラストを飾るのはやはり『イヤー・オブ・ザ・キャット』。エンディングでありながら、新たな始まりを予感させる素晴らしい楽曲です。
A1 | Lord Grenville | 5:00 |
A2 | On the Border | 3:22 |
A3 | Midas Shadow | 3:08 |
A4 | Sand in Your Shoes | 3:02 |
A5 | If it Doesn't Come Naturally, Leave It | 4:28 |
B1 | Flying Sorcery | 4:20 |
B2 | Broadway Hotel | 3:55 |
B3 | One Stage Before | 4:39 |
B4 | Year of the Cat | 6:40 |