タイトル | ローラ・アラン (Laura Allan) |
アーティスト | ローラ・アラン (Laura Allan) |
レーベル/番号 | Elektra, 6E-131 |
1978年にリリースされた、ローラ・アラン(Laura Allan)のデビュー・アルバムで、唯一のLPレコード『Laura Allan』を紹介いたします。
ジャケット表裏の写真です。芝生にしゃがみ込む姿、スケボーを脇に縁石に腰かける姿、何だか今時の少女を連想させますが、今から40年近く前の写真。アルバムの内容は腰のすわった上質なポップ・ソングを聴かせます。ジャケット表の右上を見ると、カット盤(見切り品)の切れ込みがあります。そのおかげもあり、安価で手に入れた輸入盤です。
インナースリーブ(内袋)の写真です。表裏たっぷり使い、歌詞、制作、共演等、詳細なクレジットを掲載しています。全11曲のうち9曲が、彼女の自作曲です。
残り2曲ですが、『(A5) One Way Ticket』は、本盤のプロデューサーでもあるチャック・プロットキン(Chuck Plotkin)の作品。チャック・プロットキンは、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)の仕事で有名であることを知りました。『(B1) ソー・ファイン(So Fine)』は、ロックンロールのパイオニアといわれる、ジョニー・オーティス(Johnny Otis)の50年代の作品。なかなか渋い曲をセレクトしています。
そして、彼女の特筆すべきところは、ダルシマー(Dulcimer)、ツィター(Zither)、カリンバ(Kalimbas)、クレイ・ドラム(Clay Drum)といった、民族楽器を演奏していることです。ダルシマー、ツィターは弦楽器、カリンバは、親指ピアノとも呼ばれるアフリカに伝わる楽器。クレイ・ドラムは直訳すると「粘土の太鼓」。彼女は『(A1) Opening Up To You』で、クレイ・ドラムを叩いていますが、コンガに似た素朴な音が心に響きます。
インナースリーブに、ゲスト参加のミュージシャンへの謝辞があります。そのなかに、デヴィッド・クロスビー(David Crosby)、グラハム・ナッシュ(Graham Nash)の名前があります。デヴィッド・クロスビーが、71年にリリースした初のソロ・アルバムにローラが参加したことで、本アルバム制作につながったという情報があります。
『(A2) スリップ・アンド・スライド(Slip And Slide)』で、彼女とよく対比される、ヴァレリー・カーター(Valerie Carter)がバック・ボーカルで参加しています。そのほかにも、デヴィッド・ラズリー(David Lasley)ら、多くのバックアップを得て完成度の高い作品に仕上がっています。
彼女は本アルバムリリース時に、26歳になっていますが、10代の頃から民族楽器を演奏しながら、ライブ、セッションで歌い、西海岸のミュージシャン達と交流を深めたといいます。
私が本盤で一番好きな曲は、しんみり語りかけてくれる『(B2) Love Can Be』です。そこからラスト『(B6) Stairway』への地味ですが、私小説的な流れが気に入っています。惜しむべきは、これだけの才能を持ちながら、LPレコードのリリースが本作のみであることです。彼女は、2008年に56歳で生涯を閉じています。その人のことを知ろうと調べてゆくことは、得ることが多いのですが、もうこの世にいないことを知ってしまうこともあり、それさえなければといつも思っています。
A1 | Opening Up To You | 4:29 |
A2 | Slip And Slide | 4:19 |
A3 | Come As You Are | 4:20 |
A4 | Hole In My Bucket | 3:38 |
A5 | One Way Ticket | 3:53 |
B1 | So Fine | 4:13 |
B2 | Love Can Be | 3:47 |
B3 | Promises | 4:43 |
B4 | Yes I Do | 4:27 |
B5 | Sunny Day | 1:06 |
B6 | Stairway | 2:15 |