タイトル | ホワッツ・ニュー(What's New) |
アーティスト | リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt) |
レーベル/番号 | Asylum, 60260 |
1983年にリリースされたリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)の『ホワッツ・ニュー(What's New)』を紹介いたします。オーケストラをバックにスタンダードを歌い、彼女が新境地を切り拓いた記念碑的アルバム。リンダ・ロンシュタットは、『カーラ・ボノフ(Karla Bonoff)』のページで取り上げていますが、失礼ながら、私のなかであまり大きな位置を占めていませんでした。
それが、本盤に出会い考えが一変。恐ろしいほど歌が巧い。ストレートに気持ち良く伝わってくる。当初から「抜群の歌唱力」と言われてきましたが、鈍感な私はやっとそのことに気付かされたのです。
よく見ると、彼女の向かって右に、初期型ウォークマンが置かれています。ウォークマンは79年登場、本盤リリースの83年ごろから徐々に人気上昇。時代を映したジャケットともいえます。
1984年のグラミー賞(Grammy Award)、女性ベスト・ポップ・ヴォーカル賞(Best Pop Vocal Performance)にノミネートされましたが、残念ながら受賞は逃しています。受賞はアイリーン・キャラ(Irene Cara)の『フラッシュダンス... ホワット・ア・フィーリング(Flashdance... What a Feeling)』。
ジャケット同様に、印象的なインナースリーブ(内袋)。譜面を指さしてリンダと打ち合わせしているのが、オーケストラ指揮者のネルソン・リドル(Nelson Ridele)。左のポートレイトの右下に彼女自身の言葉が掲載されています。その部分を拡大してみました。
小さいころから、素晴らしい音楽、歌い手達を教えてくれた父に愛情を込めて捧げます・・・というような意味でしょうか。本盤のカテゴリーはジャズ・ボーカルになると思いますが、ジャズファンのなかには、本アルバムを高く評価しない方もいるようです。確かにジャズの歌い方をしていません。彼女が確信を持って歌いたいように歌っている気がします。また、オペレッタの歌い方にも聴こえます。
日本盤の青木啓氏のライナーノーツによると、『同年(81年)はじめからニューヨークのブロードウェイのミンスコフ劇場で上演のオペレッタ「ペンザンスの海賊」に主演していた。』『リンダは主人公の若い海賊フレデリックに愛される美しいヒロイン、メイベルを演じて評判になった。』とあります。受賞は逃しましたが、その舞台で81年のトニー賞(Tony Award)、ミュージカル主演女優賞(Best Performance by a Leading Actress in a Musical)にノミネートされています。
私にとっても、リンダ・ロンシュタットに開眼した記念碑的なLPレコードとなりました。
A1 | What's New | 3:55 |
A2 | I've Got a Crush on You | 3:28 |
A3 | Guess I'll Hang My Tears Out to Dry | 4:13 |
A4 | Crazy He Calls Me | 3:33 |
A5 | Someone to Watch Over Me | 4:09 |
B1 | I Don't Stand a Ghost of a Chance with You | 4:06 |
B2 | What'll I Do | 4:06 |
B3 | Lover Man (Oh Where Can You Be?) | 4:18 |
B4 | Goodbye | 4:47 |