タイトル | オリジナル・サウンド・トラック (The Original Soundtrack) |
アーティスト | テン・シー・シー (10CC) |
レーベル/番号 | マーキュリー(Mercury Records),6310 500 (オランダ盤) |
1975年にリリースされた、テン・シー・シー(10CC)の3枚目のアルバム『オリジナル・サウンド・トラック (The Original Soundtrack)』を紹介いたします。
ナイジェル・オルソン(Nigel Olsson)の『ナイジェル(Nigel)』でも触れた、1980年代前半だったか民放の夜23時頃に洋楽のミュージックビデオを2曲だけ流す番組があり、その放送で印象に残った2曲がナイジェル・オルソン(Nigel Olsson)の『涙のダンシング・シューズ(Dancin' Shoes)』と、10CCの本盤に収録された『(A2) アイム・ノット・イン・ラブ(I'm Not in Love)』でした。
ケイまさる様より「1980年代前半だったか民放の夜23時頃に洋楽のミュージックビデオを2曲だけ流す番組」は、テレビ東京(1981年以前ならまだ「東京12チャンネル」)の『日立サウンドブレイク』という番組である情報をいただきました。洋楽だけでなく、邦楽の放送もありました。懐かしい記憶がよみがえってきました。ありがとうございました。
『I'm Not in Love』はジャンルを越えて愛されている曲で、女性ジャズ・ボーカル&ピアニストのダイアナ・クラーク(Diana Krall)が昨年(2015年)リリースしたヒットアルバム『ウォールフラワー(Wall Flower)』で『10CCの曲も取り上げている』という記事を目にしたとき「ああ、あれだな」と思ったらその通りでした。
ウィキペディアによると、『アメリカのFMのDJ達がこの曲を流したことに気を良くしたレコード会社がすぐにシングルカットをメンバーに要求したが、「ライブであの楽曲のクオリティーを表現出来ない」として最後までメンバーはシングルカットに難色を示していた』そうです。『I'm Not in Love』は全米2位、全英1位の大ヒットを記録したとあります。
『オリジナル・サウンド・トラック (The Original Soundtrack)』というタイトルですが、存在しない架空の映画のサウンド・トラックで、10CCの遊び心あふれたアルバムです。
ジャケットは見開きになっていて、映画フィルムの編集器を描いています。日本盤のライナーノーツで映画評論家の今野雄二氏が解説していますが、小さなスクリーンに映し出されているのは、アンソニー・パーキンス(Anthony Perkins)とヘンリー・フォンダ(Henry Fonda)が主演した1957年のパラマウント映画『胸に輝く星(The Tin Star)』の、馬上のパーキンスの姿だそうです。
見開きジャケットの裏も、別な型の映画フィルム編集器を描いています。スクリーンに映し出されているのは、10CCのメンバー4人のポートレイトです。
ポートレイトを拡大してみました。左からエリック・スチュワート(Eric Stewart)、グレアム・グールドマン(Graham Gouldman)、ロル・クレーム(Lol Creme)、ケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley)。
10CCは1972年に結成。4人は76年までのオリジナルメンバー。83年から93年まで10年近くの空白期間がありますが、95年まで延べ十数人のメンバーが入れ替わりながら存続します。その期間を通してエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの2人が中核となり10CCを支えました。
冒頭『(A1) パリの一夜(Une Nuit Paris)』の3部構成のオペレッタで始まる本盤は、プログレッシブ・ロックの上質なアルバムに仕上がっています。AORとして紹介するのはどうかとは思いますが、AOR色の『I'm Not in Love』に惹かれて、プログレに誘われる貴重なアルバムです。
オリジナルであれば英国盤になりますが、紹介した手持ちのLPレコードはマーキュリー(Mercury)レーベルのオランダ盤です。
以下のトラックリストの邦題は日本盤のライナーノーツから転載させて頂きました。
A1 | パリの一夜(Une Nuit Paris) | 8:38 |
Part1 パリのある夜(One Night in Paris) | ||
Part2 同じその夜のパリ(Same Night in Paris) | ||
Part3 夜がふけて(Later The Same Night in Paris) | ||
A2 | アイム・ノット・イン・ラブ(I'm Not in Love) | 6:01 |
A3 | ゆすり(Blackmail) | 4:27 |
B1 | 2度目の最後の晩さん(The Second Sitting for The Last Supper) | 4:23 |
B2 | ブランド・ニュー・デイ(Brand New Day) | 4:02 |
B3 | フライング・ジャンク(Flying Junk) | 4:06 |
B4 | 人生は野菜スープ(Life is A Minestrone) | 4:37 |
B5 | 我が愛のフィルム(THe Film of My Love) | 5:02 |