タイトル | ワーム・アンド・ソニー (Warm And Sonny) |
アーティスト | ソニー・クリス (Sonny Criss) |
レーベル/番号 | ABCレコード(ABC Records) ,ASD-9312 |
前回に引き続き、ソニー・クリス(Sonny Criss)のLPレコードを紹介します。
今回は、彼の最晩年のリリースとなる2作。まず最初に1976年にリリースされた『ワーム・アンド・ソニー(Warm And Sonny)』。
前回までのハード・バップ的香りから一転して、環境音楽的なジャケット体裁。内容もイージー・リスニング・ジャズと言えるもので、リー・リトナー(Lee Ritenour)を始め、同じギターでデニス・ブディミール(Dennis Budimir)、ドラムのジェームス・ギャドソン(James Gadson)、ベースのチャック・ドマニコ(Chuck Domanico)等、フュージョン界を代表するミュージシャンと、豪華なストリング隊が入る。
硬派のジャズ・ファンからは、堕落と非難され、完全に無視されているアルバムだと思う。しかし、このような豪華競演アルバム制作のオファーが誰にでもあるわけではない、最もギャラの高いミュージシャンと噂された、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)もこの時代、同様のアルバムを何枚かリリースしている。オファーがあったとして、それを断る方が愚かな選択だと思う。
ジャケット裏に、彼の印象的なポートレイトが掲載されている。健康的なちょいワルおやじという風体で、何ともダンディーである。
実際の彼は真面目な性格で、人間的にも好ましい性格だったという。
個人的にかなり気に入っているアルバムで、イージー・リスニング・ジャズとして完成度はかなり高いと思う。コテコテのバラード『追憶のテーマ(The Way We Were)』を、彼のアルトで聴けるなんて、もう何も言うことはない。
余談であるが、レコード盤のレーベルは白地で「Promotion Copy Not For Sale」の印字。販売目的でなく販促用に配布したレコードであることが分かる。さらに、ジャケットの左上が斜めにカットされて、カット盤(見切り品)の体裁をしている。この組み合わせはおかしいな?と思ったが、まれに、通常の販売ルートに乗せない念押しのためプロモーション用でもメーカーがカットするという情報もあり、本盤はそのケースだと思う。