タイトル | オータム・リーヴス・イン・パリ (Autumn Leaves in Paris) |
アーティスト | ハンプトン・ホーズ (Hampton Hawes) |
レーベル/番号 | ムーン・レコード(MOON RECORDS) ,MLP 005 |
引き続き、ハンプトン・ホーズ(Hampton Hawes)のLPレコードを紹介します。
今回はライブ録音のアルバムを2枚。最初は『オータム・リーヴス・イン・パリ(Autumn Leaves in Paris)』。1968年から翌69年にかけて、パリでの実況録音だが、イタリアのムーン・レコード(MOON RECORDS)からリリースされた。
「RVGの部屋」で紹介した、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)の『アット・ザ・ファイブ・スポット第1集(At The FIve Spot Vol.1)』を購入したジャズ喫茶の直販コーナーで見つけた。絵画的でしゃれたジャケットにひかれ、店主に確認したら「なかなか手に入らないレコード」というコメントがあり、快く店内のスピーカーで試聴させてくれた。
少し、いやかなり変わった録音であった。冒頭の『枯葉(Autumn Leaves)』は、ハンプトン・ホーズの2分近いピアノ・ソロで始まるが、中央から少し左奥に引っ込んだ音。これは、ちょっと冴えないなあ・・・「すみません、パスさせて下さい」と言いかけた瞬間、ケニー・クラーク(Kenny Clarke)のドラム・スティックが、ど真ん中にリアルに出現したのである。この不思議な違和感が気になり購入。
ピアノは中央より少し左寄り、ジミー・ウッド・ジュニア(Jimmy Woode Jr.)のベースは中央奥でピアノにかぶる、ドラムが中央手前。音像・音質ともケニー・クラークのドラムが主役と言って良い録音である。何度聴き返しても不思議な違和感は消えない。アメリカのメジャー・レーベルでは決して味わえない音の世界だと思う。
ジャケット裏の演奏プログラム。エンディングでも『枯葉(Autumn Leaves)』が演奏される。B面1曲目『朝日のようにさわやかに(Softly,As a Morning Sunrise)』だけ、ジルベール・ロヴェール(Gilbert Rovere)のベース、ダニエル・ユメール(Daniel Humair)のドラムに代わる。
ジャケット裏には、演奏するハンプトン・ホーズのポートレイトが掲載されている。同じ写真がコンテンポラリー(Contemporary)の『ヒア・アンド・ナウ(Hear and Now)』(S7616)のジャケットに使われている。『ヒア・アンド・ナウ』のリリースは1966年なので本盤より2年以上過去。写真の使い回しは本盤の方で、少なくともパリ・コンサートでの撮影ではないようだ。
音響的にはケニー・クラークが主役と言えるが、ハンプトン・ホーズのピアノだって素晴らしい。今まで紹介したブルース・フィーリングとは傾向の違う、ビル・エヴァンスにも通ずる印象派の演奏。
彼はキャリアの後半で、印象派的なアルバムを多数残しているが、私は大好きである。