タイトル | ハッピー・グラウンド(Happy Ground) |
アーティスト | ジョニー・ライトル(Johnny Lytle) |
レーベル/番号 | Muse Records, MR 5387 |
1991年にミューズ(Muse)からリリースされた、ジョニー・ライトル(Johnny Lytle)の『ハッピー・グラウンド(Happy Ground)』を紹介します。ジョニー・ライトルを取り上げるのは初めてですが、夫婦そろって彼のヴィブラフォン(vibraphon)の大ファンです。
例の通り上にジャケット、下にレコード盤レーベルの表裏を並べています。彼は1950年代後半から活動を開始、60年にジャズランド(Jazaland)からリリースした『Blue Vibes』を皮切りに、リヴァーサイド(Riverside)、パシフィックジャズ(Pacific Jazz)、ソリッドステート(Solid State)、マイルストーン(Milestone)、本盤のミューズなど、さまざまなジャズレーベルから20枚以上のリーダー・アルバムを世に出していますが、ジャズ批評など硬派の雑誌書籍などで取り上げられることは滅多にありません。
ウィキペディアに、ライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)が『ライトルは「世界で最も偉大なバイブ奏者」だと語った』とあります。同業者から一目置かれているのに、日本のジャズ愛好家からは無視されている。以前よく通った神田神保町Eastレコードの店主に不満を漏らしたことがあります。すると「クラブで若者に人気で、彼の曲がかかると大歓声ですよ」と言われビックリしたことがあります。
世には80年代ごろからクラブ・ジャズというものが存在し、DJがダンスミュージック的なジャズをかけて楽しく踊るというジャンルでライトルが再発見されていたことを知りました。私には全く縁がない世界ですが、若い人達の感性は全面的に指示したいと思います
彼の優しく繊細なヴァイブ奏法と軽やかな曲想は、対峙して聴くジャズとは対局で、AOR的ジャズととらえてきた私に、硬派のジャズ愛好家を批判する資格などありませんでした。
ジャケット裏のメンバのポートレイトです。本アルバムのプロデュースも兼ねるヒューストン・パーソン(Houston Person)のテナー・サックス、メルヴィン・スパークス(Melvin Sparks)のギター、デビッド・ブラハム(David Braham)のオルガン、ピーター・マーティン・ワイス(Peter Martin Weiss)のベース、グレッグ・バンディ(Greg Bandy)のドラム、サミー・フィゲロア(Sammy Figueroa)のパーカッション、コンガ。
録音は、ニュージャージー州イングルウッドクリフス(Englewood Cliffs)のヴァン・ゲルダー・レコーディング・スタジオ。もちろん技師は、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)。本LPレコードが大変高音質な理由もこれで納得です。正直なところ「RVGの部屋」で紹介したかったのですが、残念ながらヴァン・ゲルダー自身がカッティングを手掛けた証である刻印が本盤にありませんでした。
ジョニー・ライトルが時々披露する、繊細にコロコロ連打する奏法が好きで、楽器は違いますが、レッド・ガーランド (Red Garland)のコロコロ転がるピアノ演奏と似ているなあと思っていました。ライトルは若いころ、アマチュア・ボクシングの最高峰ゴールデングローブのチャンピオンだったとウィキペディアにありました。ガーランドはウェルター級プロボクサーの経験があるそうです。もしや、コロコロは攻撃・防御両方に備える、ボクサーのフットワークのリズムに通じるものがあるのでは、ジャムセッションでも相手の出方を伺うときのアイドリングのような間合いなのでは? 私の妄想で終わることをお許しください。
A1 | Happy Ground | 6:28 |
A2 | A Child Is Born | 6:55 |
A3 | Little Sunflower | 8:33 |
B1 | What Now My Love | 5:31 |
B2 | St. Louis Blues | 7:31 |
B3 | Melinda | 6:48 |