タイトル | アザー・ヴォイシズ (Other Voices) |
アーティスト | エロール・ガーナー(Erroll Garner) |
レーベル/番号 | Columbia, CL1014 |
1957年にリリースされた、エロール・ガーナー(Erroll Garner)の『アザー・ヴォイシズ (Other Voices)』を紹介いたします。
『コンサート・バイ・ザ・シー(Concert by the Sea)』の2年後。女性が両手を広げたジャケット写真に共通点があります。『コンサート・・・』は「?」でしたが、手前の枝葉にピントを合わせ、奧の女性をぼかした本盤のジャケットは、一件地味なようですが、大変美しいと思います。
ガーナーにしては珍しく、ストリングスをバックにエレガントな演奏。ジャケット同様、中身も大好きなLPレコードです。「In debut with ORCHESTRA」の注釈。オーケストラ初共演のアルバムです。
ジャケット裏に、当時ガーナ―のマネージャーだった、マーサ・グレイザー(Martha Glaser)による丁寧で長いライナーノーツが掲載されています。それによると、ガーナ―は若いころからオーケストラとの共演を望んでいたが、読譜力のないことが妨げになっていたようです。転機は、27歳になった50年に、コロンビアでの仕事を通じて、指揮者兼レコーディング・プロデューサーのミッチ・ミラー(Mitch Miller)と親友になったことだとあります。
ミッチによると、ガーナーは、51年にはオーケストラ共演の準備が出来ていたと言います。しかし、ガーナーは機が熟すのに時間が必要と感じ、動き出すのは56年になってからになります。
ジャケット裏のプログラム。一番下に『Arrangements by Erroll Garner in association with Nat Pierce』のクレジット。ナット・ピアースは、51~55年の4年間、ウッディ・ハーマン(Woody Herman)の楽団で、ピアニスト兼アレンジャーを務めていました。ガーナーの様々なアイディアを譜面に起こすのに最適な人物でした。ナットによれば、5つのガーナーのオリジナル曲を含め、2人がアレンジに要した時間は『合計4つの短い夕方(Erroll and I worked out the arrangements in a total of four short evenings together.)』だったとあります。密度の濃い時間だったことがうかがえます。
そして、オーケストラ指導はもちろんミッチ・ミラー。ミッチ、ナット、ガーナーのインタープレイ・セッションの間、ミッチはバレー・ステップを踏むようにメンバー間を中継したとあります。オーケストラのアレンジは譜面に書かれていましたが、ガーナーのピアノは即興で演奏されました。
アルバムのラストを飾るのは『ミスティ(Misty)』。オリジナルは、ドラムの静かなブラシをバックに、端正なピアノ演奏。本盤はストリングスをバックに、ガーナーらしく自由に遊んでいるようです。
A1 | Moment's Delight (Garner) |
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A2 | On The Street Where You Live (A.J.Lemer - F.loewe) |
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A3 | Other Voices (Garner) |
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A4 | This Is Always (H.Warren - M.Gordon) |
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A5 | Solitaire (Garner) |
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B1 | I Didn't Know What Time It Was (Hart - Rodgers) |
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B2 | Dreamy (Garner) |
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B3 | It Might As Well Be Spring (Hammerstein II - Rodgers) |
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B4 | The Very Thought Of You (Noble) |
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B5 | Misty (Garner) |