タイトル | ジェミニ(Gemini) |
アーティスト | エロール・ガーナー(Erroll Garner) |
レーベル/番号 | London Records, XPS 617 |
1972年リリース、エロール・ガーナー(Erroll Garner)の『ジェミニ(Gemini)』。『フィーリング・イズ・ビリーヴィング(Feeling Is Believing)』以来、2年ぶりのオリジナル・アルバムになります。
ジャケット裏に、ダン・モルゲンシュテルン(Dan Morgenstern)の長いライナーノーツが掲載されています。モルゲンシュテルンは、グラミー賞の最優秀アルバム・ノーツ賞(Grammy Awards for Best Album Notes)を何度も受賞している著名なジャズライター。しかし、私にはその抽象的な表現がなんとも難しく、ガーナ―のマネージャーだった、マーサ・グレイザー(Martha Glaser)によるコロンビア盤の実直なナイナーノーツが恋しくなります。これは語学力に乏しい個人的な感想であります。
ジャケット裏のメンバー紹介とプログラムを並べてみました。ガーナ―のレギュラー・メンバーである、コンガのホセ・マンゴアル(Jose Mangual)を筆頭で紹介しています。ガーナーは彼のコンガが本当に好きなのです。『(B2) サムシング(Something)』は、ビートルズのジョージ・ハリスン(George Harrison)の曲。定番のポピュラーソングを、ガーナーは実にうまく料理して聴かせます。
「Erroll Garner on piano and harpsichord」のクレジットがあります。ライナーノーツに、『(A4) When A Gypsy Makes His Violin Cry』で、14年ぶりにハープシコード(チェンバロ)を演奏したと書かれています。14年ぶりとなると『パリの印象 第1集 (Paris Impressions Vol.1)』以来となります。
実は私が、ガーナーのハープシコードを聴いたのは本盤の方が先でした。『When A Gypsy Makes His Violin Cry』のホセ・マンゴアルの高速コンガに乗って、音数少ないハープシコードは、ノリノリ演奏に慣らされていた私にとって正直意外でした。失礼ながら「下手なのでは」などと思っていました。しかし、後に『パリの印象 第1集 (Paris Impressions Vol.1)』の『Don't Look For Me』を聴いて脱帽。「弾けなかった」のでなく「弾かなかった」ことがわかりました。アーティストの演奏は、系統だてて聴かないと本質が理解できないことを改めて思い知らされました。
ロンドンレコードは、英デッカ(Decca)のエドワード・ルイス(Edward Lewis)が1947年に設立。英デッカの米国子会社として、1934年に米デッカを設立しますが、第二次世界大戦中に子会社との資本関係を失い、米国内でデッカの商標が使えなかったという経緯があります。
英デッカの雰囲気を伝えるインナースリーブ(内袋)。60年代の看板スターだった、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が一番多く紹介されていますが、いかにも「プログレ」というジャケットが並んでいます。そのなかにエロール・ガーナーというのも面白いと思います。
A1 | How High The Moon (Lewis, Jr. - Hamilton) |
5:03 |
A2 | It Could Happen To You (Van Heusen - Burke) |
3:24 |
A3 | Gemini (Garner) |
4:02 |
A4 | When A Gypsy Makes His Violin Cry (Deutch - Winegar - Smith - Rogan) |
6:22 |
B1 | Tea For Two (Caesar - Youmans) |
5:24 |
B2 | Something (Harrison) |
1:48 |
B3 | Eldorado (Garner) |
5:46 |
B4 | These Foolish Things (Link - Strachey - Marvell) |
7:00 |