タイトル | ブラック・コーヒー (Black Coffee) |
アーティスト | ペギー・リー (Peggy Lee) |
レーベル/番号 | デッカ(Decca) ,DL8358 |
前回に引き続いて、ペギー・リー(Peggy Lee)を紹介します。今回は、彼女の新旧2枚のLPレコード。まず、彼女のファーストアルバムで、初期の代表作と言われている『ブラック・コーヒー(Black Coffee)』。
キャピトル(Capitol)から1952年春にデッカ(Decca)に移った彼女は、翌53年に10インチ盤(25センチLP)で『Black Coffee』をリリースする。片面4曲ずつの8曲収録だったものを、56年の吹き込みを片面2曲ずつ追加して計12曲の12インチ盤(30センチLP)で再リリースしたものが本盤。
手に入れたレコードはオリジナルとはいかず、良くてセカンドプレス止まりと考えられるが、丁寧に作られていて、評判通り大変美しいジャケットである。前回のキャピトルと同じように盤も厚く、エッジも丸い。音溝の終端にくると、無音の溝が八文字に切られていて「演奏が終わったので早く針を上げてくれ」と独特のトレース音でアピールするところまでキャピトル盤と同じ仕様である。デッカ(Decca)も無骨なジャズ・レーベルとは一線を画している。
上はインナースリーブ(内袋)の写真で、ビジュアル的にディスコグラフィーが紹介されている。
ここからは、あくまで私見だが、53年の吹き込みでは、まだペギー・リーとしての個性が確立しておらず、偉大なる先人達に学んで踏襲する歌唱を目指しているように感じる。
それが56年になるとリラックスした彼女らしい歌唱が聴ける。また、当然かもしれないが56年録音の方が音場に拡がりもあり抜けも良い。一般には、歌唱、バックの演奏ともに緊張感のある53年の楽曲に評価が集中するが、普段聴きとしてはどうしても56年に傾いてしまう。
私にとって、デッカ時代の3年間で彼女の個性が確立したことが良く分かる貴重な音源である。