タイトル | ロード・ソング (Road Song) |
アーティスト | ウェス・モンゴメリー (Wes Montgomery) |
レーベル/番号 | A&M, SP 3012 |
刻印VANGELDER |
私は、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)のなかで、イージーリスニング路線と揶揄されたりもする晩年の作品が特に好きである。『ロード・ソング(Road Song)』は、スタジオ録音としては彼の遺作となったLPレコード。
以前紹介した、『ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)』、前ページの『ダウン・ヒア・オン・ザ・グラウンド(Down Here On The Ground)』、本盤『ロード・ソング』がA&M3部作と呼ばれている。ジャケット裏に彼の印象的なポートレイトが掲載されている。以下にそれを並べてみることにする。
向かって左から以下の順番。
・『ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)』
・『ダウン・ヒア・オン・ザ・グラウンド(Down Here On The Ground)』
・『ロード・ソング(Road Song)』
彼の繊細な内面がよく表れた写真だと思う。
例の通り、左に見開きジャケットの録音データを掲載する。レコーディングはイングルウッドクリフス(Englewood Cliffs)のルディ・ヴァンゲルダー・スタジオで、1968年5月7~9日の3日間にかけて行われた。
オーケストラと呼んでもよい布陣で、丁寧な演奏リストが掲載されている。編曲はおなじみのドン・セベスキー(Don Sebesky)。ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)はブルーノート(Blue Note)の厚意による友情出演というクレジットがある。
『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』と同じく、ビートルズを2曲取り上げている。『イエスタデイ(Yesterday)』『アイル・ビー・バック(I'll Be Back)』。B面冒頭を飾るのはサイモン&ガーファンクルの『スカボロー・フェア(Scarborough Fair)』。『イエスタデイ』等何曲か重厚なバロック調の前奏で始まる。え~これでどのようにウェスのギターが入るのだろうかと思わせるドン・セベスキーの見事な編曲。
いつも参考にしている岩浪洋三氏の『モダン・ジャズの名演 名盤』(立風書房、1995)よると、『リバーサイドの後期に、自分の持てるものをすっかり出しきってマンネリになり、スランプに落ちたウエスをヴァーヴに引き抜き、オーケストラと共演することで、新たな刺激を与えてウエスを甦らせたのは、プロデューサーのクリード・テイラーである。クリードに出逢ったことで、ウェスの第二の人生が始まったのだった』『クリードとの出遇いを誰よりも喜んだのは、ほかならぬウエス自身だった。だからこそクリードがA&Mに移籍してCTIシリーズを作ったとき、真先に彼のもとに馳せ参じたジャズメンはウエスだった』
ウェス・モンゴメリーは、本アルバムの録音から1カ月と1週間後の、1968年6月15日にこの世を去っている。死因は心臓発作とされている。合掌。
[参考文献]
・岩浪洋三著『モダン・ジャズの名演 名盤』(立風書房、1995)