タイトル | サーチ・フォー・ザ・ニュー・ランド(Search For The New Land) |
アーティスト | リー・モーガン(Lee Morgan) |
レーベル/番号 | BLUE NOTE, BST 84169 |
刻印VANGELDER |
リー・モーガン(Lee Morgan)の『サーチ・フォー・ザ・ニュー・ランド(Search For The New Land)』を紹介いたします。「RVGの部屋」、そして、ブルーノート盤の更新は久しぶりのことになります。
ブルーノートの真のオリジナル盤を2~3枚しか所有していなかった私は、本サイト公開2周年を迎えた2016年暮れ、自分へのご褒美として購入したものです。大宮の中古店で年末セールに税込7800円で出ていました。「1枚のLPレコード購入にかける上限は8000円」と決めていたので、その絶妙な値付けと、リー・モーガンの視線に射抜かれたようでした。
値札には「オリジナル盤」の注釈も付記されていました。それが本当かどうか、レコード盤内周の刻印から検証していきたいと思います。
左がA面、右がB面の「VAN GELDER刻印」。
離れたところに「STEREO」の刻印もありました。両面ともSTEREO刻印の左に、通称「耳マーク」と呼ばれる、プラスタイライト(Plastylite)社のシンボルマークがあります。
レコード番号は手書きで、A面が「BNST-84169・A」。B面が「BNST-84169・B」。区切り文字として「-(ハイフン)」「・(中黒)」両方が使われています。
レーベルの住所は両面とも「BLUE NOTE RECORDS INC・NEW YORK USA」。深溝(Deep-groove)はなく、「段差(Ridge)」があるのみです。
レコード盤端は、演奏面より丸く盛り上がる玉縁(ビーズ・リム)。
次にジャケットを見ていきます。
ジャケット裏の住所は、「BLUE NOTE RECORDS INC, 43 West 61sT St., New York 23」。
ジャケット裏の右下に「Printed in U.S.A」の表記。
ジャケットは背文字あり、ラミネート加工はありません。
そして興味深いインナースリーブ(内袋)です。『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』(以降、『オリジナル・プレッシング・ガイド』と表記)によると、「27 YEARS BLUE NOTE」には2種類あり、違いを見分けるキー・ジャケットがあるといいます。それは、写真左、下に住所表記のある側を見て、矢印が示すジャケットです。本盤は、そこが「4187:Into Something -Larry Young」で、「1965年12月~66年7月」の期間で使われたとあります。本盤のリリースは1966年7月の情報があり、合致しています。
『オリジナル・プレッシング・ガイド』が定義するオリジナル盤との比較を以下にまとめました。
レコード盤のオリジナル度判定 | ||||
---|---|---|---|---|
オリジナル盤 | 所持盤 | 判定 | ||
略語 | 説明 | 略語 | 説明 | |
ST-VG | 最内周の Stereo と Van Gelder 別々の刻印 | ST-VG | 最内周の Stereo と Van Gelder 別々の刻印 | 〇 |
P | プラスタイライト(Plastylite)社のシンボルマーク(通称=耳マーク)あり | P | プラスタイライト(Plastylite)社のシンボルマーク(通称=耳マーク)あり | 〇 |
NYC | 「BLUE NOTE RECORDS INC・NEW YORK USA」 | NYC | 「BLUE NOTE RECORDS INC・NEW YORK USA」 | 〇 |
br | 玉縁(beaded rim) | br | 玉縁(beaded rim) | 〇 |
ジャケットのオリジナル度判定 | ||||
---|---|---|---|---|
オリジナル盤 | 所持盤 | 判定 | ||
略語 | 説明 | 略語 | 説明 | |
NYC | BLUE NOTE RECORDS INC, 43 West 61sT St., New York 23 | NYC | BLUE NOTE RECORDS INC, 43 West 61sT St., New York 23 | 〇 |
USA | ジャケット裏に「Printed in USA」 | USA | ジャケット裏に「Printed in USA」 | 〇 |
ps | 背文字あり | ps | 背文字あり | 〇 |
nl | ラミネート加工なし | nl | ラミネート加工なし | 〇 |
めでたく、全項目〇でオリジナル盤に間違いないと思います。さらに『オリジナル・プレッシング・ガイド』を確認していて嬉しいことを見つけました。
それは『稀少盤(-Rarities-)』の章で、『"ステレオのNYC盤"でプラスタイライト社のPの付いた』を挙げていて、本盤(BST 84169)をはじめ、15枚が写真付きで紹介されていました。『多くのブルーノート盤は稀少(レア)だが、真の稀少盤とは最も手に入りにくいもので、必ずしも最も高価なものではない』という導入で、40枚強の稀少盤を紹介しています。その中の1枚に該当すると知った時、大きなご褒美をいただいたと感激しました。
真に大切なことは、レコード盤に針を落としてからのこと。それに全く触れずにここまで来てしまいました。リーダー&トランペットのリー・モーガン、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)のテナー、グラント・グリーン(Grant Green)のギター、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)のピアノ、レジー・ワークマン(Reginald Workman)のベース、ビリー・ヒギンス(Billy Higgins)のドラム。収録全5タイトルともリー・モーガン作。オープニング『(A1) Search For The New Land』から厳粛で精々しい音。襟を正してくれるブルーノートの音。Jazzスキルに乏しい私のコメントはこのくらいにしておきます。
A1 | Search For The New Land | |
A2 | The Joker | |
B1 | Mr. Kenyatta | |
B2 | Melancholee | |
B3 | Morgan The Pirate |
[参考文献]
・フレデリック・コーエン著、行方均監修/訳
『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』(株式会社ディスクユニオン、2011)