タイトル | エリック・ドルフィー 2枚組 |
アーティスト | エリック・ドルフィー (Eric Dolphy) |
レーベル/番号 | プレスティッジ(Prestige), PR 24008 |
刻印VANGELDER |
中古レコード屋に通い始めた頃、ある店に1500円で出ていたが、半年以上売れ残ったままだった。
私のバイブル、山口克巳著『LPレコード再発見』(誠文堂新光社、2003年)に、このアルバムが取り上げられているのを見つけた。その部分を引用させて頂く、「ついで、あなどれないのが、廉価版のファンタジー(Fantasy)盤で、『エリック・ドルフィー2枚組』は彼の仕事だ。なぜそうなったかを推理するのも楽しい。プレスティッジ原盤のこの2枚は、RVGにとって満足できない仕上がりだったので、もう1回リカットさせて欲しいと、ファンタジー盤の監修者であるオリン・キューブニューズ(プレスティッジのライヴァル会社だった、リバーサイドの元プロデューサー)に言ったのではないか』。
急いでその店を訪れ盤を確認したら、ちゃんと刻印があるではないか。RVGは特別なものでなく、身近な存在であることを知った貴重な体験だった。
プレスティッジ原盤の2枚とは、どのアルバムだろうか、以下に、見開きジャケットにあるデータシートを掲載する。
左下の「Remastering: Rudy Van Gelder」の上に、小さくて分かりづらいが「Originally issued as…」と記載されている。以下の2枚である。
『アウトワード・バウンド(Outward Bound)』
(New Jazz 8236/Prestige 7311)
『アウト・ゼア(Out There)』
(New Jazz 8252/Prestige 7652)
ファンタジー(Fantasy)2枚組廉価版には、独自編集もあるが、多くが「過去の名盤をお得な価格の2枚セットでご提供」というコンセプトで、さまざまなレコードが再発されている。私もこのシリーズが好きで、ビル・エヴァンスなどで好んで購入している。安いのに音が良いということもあるが、意外に聴かれてないのか、盤質の良いものにあたる確率が高いのだ。
さて、本盤のように、このシリーズでヴァン・ゲルダーがリカットするのは特異なケースなのだろうか、実は、この後に、刻印VANGELDERに2セット出会っている。次回は、そのレコードを紹介したいと思う。おそらく、探せばまだまだ見つかるはずだ。となると、山口氏のような夢のある話ではなく、依頼された仕事だった、というのが真相のようだ。
「依頼されたので、淡々とリカットした」というほうが、何だかヴァン・ゲルダーらしい気がする。しかし、山口氏の説も捨てがたい、なぜなら、本盤はオリジナルより音が良いという可能性があるからだ。確かめるため、オリジナル盤を手に入れたいが、高いだろうな。
[参考文献]
・山口克巳著『LPレコード再発見』(誠文堂新光社、2003)