タイトル | アランフェス協奏曲 (Concierto) |
アーティスト | ジム・ホール (Jim Hall) |
レーベル/番号 | CTI, 6060S1 |
刻印VANGELDER |
今回はCTI(Creed Taylor Issue)のRVG刻印のLPレコードを紹介したい。ウォーム・サウンドの代表ともいえる2枚。
本アルバムを最初に聴いたのは、1970年代の後半になってから、CTIオリジナル1500シリーズとして、1500円の廉価の日本プレス盤で続々と復刻されたことがきっかけだった。ジャズになじみがないころで、一回針を降ろしただけで…ということが常であったが、このレコードだけは違って、何回も繰り返して聴いた。繰り返し聴くのはA面ではなく、B面全体を占める『アランフェス協奏曲(Concierto De Aranjuez)』。これは、本盤を愛するほとんどの人がとる共通した行動ではないか。
アランフェス協奏曲は、スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴ(Joaquin Rodrigo)がクラッシック・ギターのために書き下ろした協奏曲。多くのジャズメンに取り上げられているが、ギル・エヴァンス(Gil Evans)編曲で、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の『スケッチ・オブ・スペイン(Sketches Of Spain)』に収められているものと、ドン・セベスキー(Don Sebesky)編曲のジム・ホール盤の2つが特に有名だと言われている。ネットでは、マイルスが上という評価が大勢を占めているようだが、多くの人に聴かれているという点ではジム・ホールの圧勝であろう。『スケッチ・オブ・スペイン』は聴いたことがないので、ぜひ、聴き比べてみたいと思っている。
本盤は、RVG録音と知ってから、いつか手に入れたいと思っていて、念願かなったもの。
見開きジャケットの向かって左に、挿絵画家でもあるTomas B.Allen氏による繊細なイラストで、ジム・ホールの肖像画が掲載されている。日本盤は見開きジャケットではなく、見開きのライナー・ノーツに同じイラストが印刷されている。
左はレーベルと同系色のインナースリーブ(内袋)。レコード盤を入れたまま撮影した。ジャケットの装丁だけでなく、レーベル、内袋、曲の内容、どれを取ってもセンスある大変美しいアルバムである。
左に見開きジャケットの、プログラムを掲載する。レコーディングは1975年4月、イングルウッドクリフス(Englewood Cliffs)のルディ・ヴァンゲルダー・スタジオ。表記からわかりづらいが、ドン・セベスキー編曲はB面『アランフェス協奏曲』だけらしい。
ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノ、ロン・カーター(Ron Carter)のベース、スティーブ・ガット(Steve Gadd)のドラム、チェット・ベイカー(Chet Baker)のトランペット、ポール・デスモンド(Poul Desmond)のアルト。
ジム・ホールのギター等で一部多重録音を使っていると思うが、ストリングスが入っているのではと思うほど密度の濃い演奏が繰り広げられる。ドン・セベスキーの編曲は、協奏曲というに相応しい仕事だと思う。
ジム・ホールは、本盤の成功を受けて、1981年にデイヴィッド・ マシューズ (David Matthews)編曲・指揮のオーケストラと共演した『新アランフェス協奏曲』をリリースしている。マイルスの『スケッチ・オブ・スペイン』とともに、ぜひ聴き比べてみたいと思っている。