タイトル | オパス・デ・ジャズ (Opus De Jazz) |
アーティスト | ミルト・ジャクソン (Milt Jackson) |
レーベル/番号 | サヴォイ(Svoy) ,MG-12036 |
刻印RVG |
前回に続いて、サヴォイ(SAVOY)のRVG刻印盤を紹介します。
意図したわけではないが、サヴォイで紹介した最初の3枚ともヴィブラフォン(Vibraphone)主体のアルバムとなってしまった。本盤はミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の名作であるが、演奏の内容とは別に前回の2枚と顕著な違いがある。それは音の良さ。
『Midnight On Cloud 69』『MOVE!』は1949~51年録音であるのに対し、55年と5年ほど新しいので当たり前かも知れないが、それでも今から60年も前の録音。レンジは狭いが、フランク・ウェス(Frank Wes)のフルートの抜けの良さにハッとさせられるものがある。
実は私のバイブル『LPレコード再発見』(山口克巳著、誠文堂新光社、2003)によれば本盤は『(針圧)10グラム対応のレコードをRVG自身が軽針圧用にリカットしたもの』とある。
以下は、オパス・デ・ジャズ旧盤のジャケット。山口克己氏の文章を続けて引用させて頂く。
『モノクロームのヴィブラフォーンが、斜めにレイアウトされたジャケットで、「手書きRVG刻印」盤で発売され、リカットされた「RVG刻印」盤は、ジャケットまでヴィブラフォーンとシロフォンのカラー写真に変わっていた』『聴きくらべると手書きのほうはレンジは狭いが密度が濃く、「ギュツ」と詰まった音がして、いつ歪んだ音が出るかひやひやしながら聴くのに対して、リカット盤はスッとレンジの広がる音で、空間があり安心して聴いていられる。ただし、どちらも8グラムの針圧をかけての、モノーラルカートリッジでの比較である』
本盤も本当のところは、針圧8グラムはあるモノラルカートリッジで再生しなければ真価を発揮しないのだろうか?しかし、針圧3グラムのDL-102でも『スッとレンジの広がる音で、空間があり安心して聴いていられる』ことは十分に体感できる。
個人的にはフルートが入ったレコードは、高音がキツくなるのかあまり聴かないのだが、本盤は、ミルト・ジャクソンのヴァイブとの繊細な掛け合いが気持ち良く飽きずに聴き入ってしまう。ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノ、エディー・ジョーンズ(Eddie Jones)のベース、ケニー・クラーク(Kenny Clarke)のドラムにまけず、ルディ・ヴァン・ゲルダーが本当にいい仕事をしていると思う。
[参考文献]
・山口克巳著『LPレコード再発見』(誠文堂新光社、2003)